日本民藝館
柳宗悦も魅せられた大津絵を数多く所蔵
大津絵とは江戸時代、東海道の大津宿から京へ到る峠道沿いにあった大谷町や追分町などで、旅人を相手に売られていた土産絵です。江戸時代初期には仏画が主題でしたが、やがてユーモラスな鬼の姿や気品に満ちた美人画などの世俗画も描かれるようになります。「藤娘」は良縁を結ぶ、「鬼の念仏」は子どもの夜泣きに効く、など民間信仰では護符の意味も持ち合わせ、土産物として喜ばれ、全国に知られるようになりました。
明治になって鉄道が敷設されると土産絵としての大津絵はその歴史を終えますが、文人画家の冨岡鉄斎や洋画家の浅井忠など近代の芸術家たちの中には、大津絵に価値を見出し、そのモチーフを自らの作品に取り込んだり、収集したりした人たちもいました。民藝運動を起こした思想家・柳宗悦も熱心な収集家の一人で、大津絵を初めて体系的に論じた『初期大津絵』を1929年に刊行しています。柳が創設した日本民藝館には100点以上の大津絵が所蔵されていますが、展示期間は限定されているため、事前にホームページなどで確認しましょう。こちらにある大津絵の掛け軸の表装のほとんどは柳が考案したもので、大津絵の美を引き出そうと工夫が凝らされている点も見どころです。
- お問合せ
- 日本民藝館
- 住所
- 東京都目黒区駒場4-3-33
- 電話番号
- 03-3467-4527
- 営業時間
- 10:00~17:00(最終入館は16:30まで)
- 定休日
- 月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
- 公式サイト
- https://www.mingeikan.or.jp/
最終更新日:2024年06月12日 ※最新情報は店舗までお問い合わせください。