東京国立博物館
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長い眠りから目覚めた、滋賀伝来の金剛力士立像
上野恩賜公園内に位置する「東京国立博物館」。
明治5年開館、収蔵品数およそ12万件。日本で最も長い歴史があり、かつ最大級の博物館として名高い。
本館11室の入口で来館者を厳かに迎えるのが、およそ3メートルの高さを誇る阿形・吽形の金剛力士立像(平安時代・12世紀)である。
この一対の金剛力士立像、かつては滋賀県栗東市にあった蓮台寺(現在は廃絶)に安置されていた。しかし、昭和9年の室戸台風により大破し、本格的な修理も叶わないまま保管されていた。その後、京都の美術院による修理を経て、令和4年に東京国立博物館に収蔵されることとなった。
本展示では、寺院では通常見ることのできない像の背面を鑑賞することができる。その後ろ姿は、筋骨隆々な正面の姿とは対照的に、思いのほか肉付きがよく柔らかな印象を受ける。こうした作風は、時代の美意識の変化を反映しているといえよう。
本像の制作時期とされるのは平安時代後期。穏やかな作風が主流であった平安貴族の時代から、力強い作風が主流となる鎌倉武士の時代へと移り変わる、まさに転換期である。
金剛力士ならではの威風堂々たる姿もさることながら、その正面と背面の意匠の対比からは、当時の時代背景や様式の変遷を感じ取ることができる。
- 住所
- 東京都台東区上野公園13-9
- 電話番号
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)
- 営業時間
- 9時30分~17時00分(入館は閉館の30分前まで)
- 定休日
- 月曜日、年末年始
- 公式サイト
- https://www.tnm.jp/
最終更新日:2025年06月30日 ※最新情報は施設または店舗までお問い合わせください。